「妊娠しにくい体質です」。そう医師から宣告されたら、どう過ごせばいいのでしょうか。2度の不妊治療を経験し、いまは2人の子育てに励む神戸蘭子さん。若い女性に知ってほしいことがあると言います。(全4回中の3回)

20歳のころから生理不順「ピルを服用する日々」

── 現在は結婚され、ふたりのお子さんがいる神戸さんですが、若いころから生理不順に悩まされてきたそうですね。

 

神戸さん: 20歳くらいのとき、生理が1か月続くことがあって婦人科に行きました。ホルモンのバランスがよくなく、子どもができにくい体質と診断されました。

 

そのころは妊娠・出産はまだ先のことだと思っていたし、自然と改善される可能性もあると言われたんです。

 

数年経っても、生理不順が続いていたので、再度、婦人科を受診するとピルを勧められました。ピルを飲んでいれば定期的に生理がくるし、時期も把握しやすいから、すごく助かりました。

 

しかも、友だちとの会話で「ふだんからピルを飲んでいる人は、服用をやめたら妊娠しやすくなる」みたいな噂を聞いていて。真偽のほどはわかりませんが、そのときは「そんなものなんだな」と軽く思っていました。

 

── 2014年、32歳のときに結婚されたそうですね。妊娠や育児については、どう考えていたのでしょうか?

 

神戸さん:結婚したらすぐ子どもを授かりたい、何年か経ったらふたり目も欲しいと、自分なりの人生設計がありました。ピルのおかげで生理もずっと定期的にきていたから、服用をやめて妊活をしたら、すぐ妊娠するだろうと考えていたんです。

 

ところが、ピルをやめてもなかなか妊娠しなくて。それで、再び病院に行ったら「多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)」と診断されました。

 

そんな想像していなくて、すごくショックでした。初めて聞く病名だったこともあり「漢字が多すぎる…」と、関係ないことを考えるほど混乱しましたね。

「妊娠がしにくい病気」とわかってつらかった

──「多嚢胞性卵巣症候群」とは排卵が起こりにくいため、妊娠がしにくいとされる病気です。何か治療はされたのでしょうか?

 

神戸さん:排卵を起こすための「クロミッド」という薬を処方されました。生理が来たらタイミング法に挑戦することになったんです。妊娠のチャンスは1か月に1回しかないわけだし、今回もダメだった…となるとすごく落ちこんでしまいました。

 

もともと妊娠しにくい体質だと言われていたため、「簡単にできるわけではない」「長い目で見ないといけない」と、頭ではわかってはいるんです。

 

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ふだんはそこまで意識しているわけではないのですが、うまくいかない時期が長引いたり、友人が妊娠した話を聞いたりすると、やっぱりつらくなってしまいました。

 

そろそろ人工授精など次の不妊治療にステップアップしようと考えているころ、妊娠が判明し、2016年に無事、第一子を出産することができました。

1歳の長男を育てながら「2度目の不妊治療へ」

── 育児に奮闘するなか、1年後にはまた妊活を始めたそうですね。

 

神戸さん:子どもは「2歳違いがいいな」と思っていました。だから上の子が1歳になったとき、ふたり目が欲しいと思ってすぐに病院に行きました。

 

するとやっぱり「体質は変わっていません。多嚢胞性卵巣症候群です」と言われて。また薬を処方されて、何回かタイミング法に挑戦しました。でも、やっぱりなかなか授からないから、すぐに気持ちを切り替え、不妊治療専門のクリニックに転院しました。

 

── 不妊治療をステップアップする際はどんな気持ちでしたか?

 

神戸さん:時間をムダにしたくなかったです。一方で、ステップアップしたら本当に授かるのかという気持ちや、なじみのない治療に対する不安もあって複雑ではありました。

 

でも、ひとり目のときに不妊治療を経験したから、早くステップアップすることを決断できたと思います。

 

── 上のお子さんが1歳で不妊治療を受けるとなると、治療中、お子さんの預け先を探すのも大変だったのではないでしょうか?

 

神戸さん:平日はクリニックで預かってくれたから助かりました。でも、身体の周期によっては、土日や祝日にクリニックに行かないといけない場合もあります。その際はクリニックで子どもを預かってもらえなかったので、託児所を探して預けていました。

 

わが家は双方の両親が遠方なので、何かあっても気軽に子どもを預けられる人がいません。だから、ふだんから一時保育できるところは探し、確保していました。

 

結局、3回目の人工授精で授かることができ、2018年に出産しました。いまはふたりの子育てでとても慌ただしいですが、「産まれてきてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいです。

 

「レゴランド」にて

── 2度も不妊治療をされて、大変なご経験だったと思います。

 

神戸さん:周囲でも、不妊に悩む人は本当に多い印象を受けます。いまは人工授精や体外受精、顕微授精も当たり前のように聞く話だし、個人的な感覚としては、スムーズに妊娠した人のほうが少ない気さえするんです。

 

私はたまたまメディアに出る機会があるから、こうして取材されることもありますが、もっと大変な経験をされている人もたくさんいらっしゃると思います。そのなかで、私の話は参考になるのかな?と感じるくらいです。

 

若いころ、生理不順で病院に行ったものの、そこまで自分の身体に関心があったわけではありませんでした。周囲にも生理痛や生理不順で悩んでいる人は多くて「不調があるのはふつうのこと、つらくても我慢するのが当たり前」みたいな感覚があったんです。

 

いまにして思うと、もっと早い時期から自分を大切にし、将来妊娠することを意識して、検査などをしておいたらよかったなと思います。

 

PROFILE 神戸蘭子さん

かんべ・らんこ。1982年生まれ、モデル、タレント。女性ファッション誌『JJ』のSサイズモデルとして雑誌やテレビ番組などで活躍。2014年結婚、現在2児の母親。デニムリメイクのハンドメイドブランド「CIEL BONBON」を設立。2023年ディレクターを務めるベビー服ブランド「Baskin Folks」、フォトスタジオ Studio Capture Free をプロデュースし、2023年にオープン。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/神戸蘭子